アナ・マリャエバ著:23/12/2025
✒️要約:
- 猫の感情は「耳・目・尾・ひげ」の小さなサインで表れる。
- ゆっくり瞬き・頭突きは友好・信頼、耳の後倒れ・体を小さくするは不安・恐怖。
- 行動変化が24 h 以上続いたら病気の可能性あり、環境と普段の姿を比較しながら観察することが大切。
【本文】

※写真:アンナ・マリャエワ(パブリックドメイン)
ゆっくり瞬いて頭を突っ込む──見落とされがちな猫の気持ちサイン
獣害対策士ミャスニコワ「ゆっくり瞬きは友好の印」
猫は感情をストレートに見せません。でも、耳の向き、視線、尾の動き、ひげの揺れなど“小さなサイン”を読み取れば、今この瞬間の気持ちが丸わかり。飼い主が見逃しがちな、猫の“本音”を専門家が解説します。
なぜ猫は“体”で話すのか
猫は感情を声に出さない進化戦略を取っています。体言語で状況をコントロールし、無用な争いを避けてきたのです。だからこそ、姿勢や微細な動きを“意識的”に観察することが、ストレス軽減・関係構築の第一歩になります。
「見えにくいサインは、ほとんどが表情と体言語。飼い主はこれらに目を向けることが大切です」
──獣害対策士 ナターリャ・ミャスニコワさん
友好&信頼サイン
猫が好意を持つとき、それは静かで穏やかな動きで表れます。
- ゆっくり瞬き(スローブリンク)
- 頭突き(ヘッドバンプ)
- 伸ばした指先に鼻先を軽く合わせる
「人差し指を猫の鼻の高さに差し出し、猫が触れてきたら“あなたを信頼してる”サインです」
安心・リラックス
- 耳はまっすぐ上向き
- 瞳孔は普通の大きさ
- ひげが軽く上向き
- 「ミルキーステップ」──子猫時代の“ママのお腹を踏む”動作を再現
「このとき猫は“子猫モード”。母猫のそばにいた頃の安心感が蘇っているんです」
不安・恐怖
不安
- 耳が横に倒れる
- 目を細める
- 瞳孔が細く
- 体を小さくする
恐怖
- 目が大きく開く
- 頭を引っ込める
- ひげが後ろ向きにピン
- 尾を敷く(時に胴体に巻き付け)
病気と悲しみの見分け方
- 遊ばない、食べない、長時間同じ場所でじっと
→ 迷わず獣医師へ相談 - ひげが下向き、活動量ダウン
→ 悲しみの可能性もあるが、24 h 以上続いたら病気の疑い
攻撃=“最後の砦”
- 耳が外側に反り“ハの字”
- 視線を敵に固定
- 牙を見せる
- 尾を膨らませて“大きく見せる”
「攻撃は怖がっている裏返し。距離を取らせ、刺激を除去してあげてください」
自信・興味・幸福
| 状態 | サイン |
|---|---|
| 自信 | 尾を立てて“スイスイ”歩く |
| 興味 | 耳が前向き、瞳孔開き、ひげ前向き |
| 幸福 | ゴロゴロ、足すりすり、お腹見せ、スローブリンク |
観察のメリット・デメリット
メリット
- ストレス早期発見
- 人猫トラブル減
- 絆が深まる
- 生活変化への適応がスムーズ
デメリット
- 時間と習慣が必要
- 同じサインでも文脈で意味変化
- 猫の個性差に注意
実践チェックリスト
- 耳・目・尾を“セット”で見る
- 環境(騒音、来客、新家具)を考慮
- いつもとの違いを比較
- 活動量・食欲に急変があれば獣医師へ
FAQ
Q. 信頼されてるかどうか見分けるには?
A. スローブリンク、鼻・頭タッチ、すぐ側でくつろぐ姿。
Q. 攻撃的になったら?
A. 接触をやめ、逃げ道を確保。原因を取り除いて静かに見守る。
Q. 猫の行動コンサルはいくら?
A. 地域差ありますが、一般的な獣医一次診療費並み(日本円で5 000~10 000 円程度)です。
猫は“言葉”では話しません。でも、瞬きの速度、尾の角度、ひげの向き……それらを“言葉”に置き換えてあげれば、猫の“今”が見えてきます。今日から観察をはじめ、猫の“小声”に耳を澄ましてみてください。